授業づくりネットワークNo.30―授業記録を読もう! 書こう!
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本誌を研究室のテーブルに置いていたら、本誌を定期購読している院生さんが研究室に入った途端、
「あっ、これ、届いてました。授業記録を読むことってこんなに面白いのだと初めて知りました」
と言ってくださいました。
そうかぁ、「授業記録」を読むことはほぼしなくなっている(できなくなっている)のですね。
わたしが若かりし頃は、「法則化論文」が花盛り。指示発問が中心で子どもたちがどのように動いたかが書いてあるものでしたが、これらを読んで、自分の授業に生かしていたものでした。 わたしは、授業記録オタクだったので、当時(平成元年を過ぎた頃)安価になりつつあったパソコンを購入して、各教育雑誌の授業記録だけをインデックス化して、学年、教科、単元、キーワード等で検索、抽出できるようにしておき、自分がどんな授業を展開していいかわからないときに「4年 算数 平行四辺形」などと入力して、一覧に表示される教育雑誌を押し入れから複数冊取りだしてきて読み、それをもとに、(例えば)今回の算数の平行四辺形の授業の進め方を考えるというようなことをしていました。これを全教科できたので、経験や知識がなくても真似(追試)ではありますが、それなりの授業ができたような思いがあります。 だから、毎月の教育雑誌の購入数は多かったですね。定期購読は、10冊はくだらなかったと思います。
今、それをしたくてもね。教育雑誌は少ないし、教育雑誌を見ても、そういった「授業記録」は見当たらないし……。
もちろん、過去の授業記録には、今でもたくさん学ぶことがあるので、そこから今の考え方やエッセンスを組み合わせて授業を再構築するのは可能でしょう。でもね、今の授業記録が読めるとうれしいですよね。 それが、本書です。
本書の最後に、「特別寄稿2 授業記録を読むということ」ということで、本理事長の石川晋さんが、教員が本を読まなくなってきているし、読めなくなってもきているのではないかという意味の警鐘を鳴らしています。全国の学校現場を行脚して、肌感覚で敏感に感じている石川さんだからこその言葉でしょう。 今だからこその、授業向上の何かが「授業記録」以外にあるのかもしれません。見つけることも必要と思います。過去の囚われるほどばかばかしいことはありませんから。でも、一方で「書く」「読む」を大切にしていって、文化を伝承していきたいという気持ちも強くあります。
今回わたしは、奥井貴仁さんの教室を訪ねて、3時間の授業を参観し、その後、一緒に授業を参観した名古屋市立大学の原田信之先生もご一緒に鼎談をしています。楽しかったですが、緊張しました。自分の知識の浅さが露呈している感じがして。 わたしの発言はともかく、本書、いつも通り、オススメです!!
内容紹介
授業記録で教師が育つ!
若手からベテランまで、授業形態は一斉、協同、個別と多様な全12本の授業記録を読むことで、実践の新しい展開が見えてくる。授業記録を読む、書く、対話することで、思考が促され、教師の成長へとつながる一冊。【教師全般対象】
★目次より★
■奥井貴仁学級のストップモーション授業記録/佐内信之 ■パート1 11の多様な授業記録を読もう! ~一斉・協同・オルタナティブ~
「教師が大切にしているものは?」を読み解く/田中聖吾 一人ひとりの子どもの「学び」を丁寧に扱うということ/青山新吾 二俣潤也先生の授業 国語総合(現代文)「水の東西」(山崎正和)/喜岡淳治・二俣潤也 「支援を要する子」は、決していつまでも「支援されるだけの子」ではない! /川上康則 ■パート2 教育書を読もう! ~授業とクラスをさらに深く考えるために~